橘の背中が、街灯の明かりの中でゆっくりと遠ざかっていく。
その姿は、これまで何度も彼女を守ってきた“警護官”ではなく、ひとりの「橘航太」としての背中だった。
紗良は、静かに両手を胸の前で重ねた。
指先がわずかに震えている。
不安なのか、寂しさなのか、
それとも――
ふいに、夜風がそっと髪を揺らす。
目を細めて空を見上げると、雲の切れ間に、うっすらと星がのぞいていた。
「……ありがとう」
小さく、もう一度呟く。
それは、橘の背に届くことはなかったけれど、胸の奥にある感謝と、これからの決意をこめた言葉だった。
警護は終わった。
だが、心は離れていない。
むしろ今、ようやく真っ直ぐに見つめ合える。
紗良はスマートフォンを取り出し、登録されたばかりの「橘航太」の名前を見つめた。
その文字列に、静かに笑みを浮かべる。
そして、
玄関のドアノブに手をかけたとき――
背後から、小さく車のエンジン音が聞こえた。
振り返ると、角を曲がる寸前、橘の乗った車が一瞬だけブレーキランプを点灯させたように見えた。
まるで、またすぐ会えると伝えるように。
「うん……おやすみ、橘さん」
そう言って、紗良は自宅へと戻っていった。
その背中には、かすかな期待と、まっすぐな想いが宿っていた。
その姿は、これまで何度も彼女を守ってきた“警護官”ではなく、ひとりの「橘航太」としての背中だった。
紗良は、静かに両手を胸の前で重ねた。
指先がわずかに震えている。
不安なのか、寂しさなのか、
それとも――
ふいに、夜風がそっと髪を揺らす。
目を細めて空を見上げると、雲の切れ間に、うっすらと星がのぞいていた。
「……ありがとう」
小さく、もう一度呟く。
それは、橘の背に届くことはなかったけれど、胸の奥にある感謝と、これからの決意をこめた言葉だった。
警護は終わった。
だが、心は離れていない。
むしろ今、ようやく真っ直ぐに見つめ合える。
紗良はスマートフォンを取り出し、登録されたばかりの「橘航太」の名前を見つめた。
その文字列に、静かに笑みを浮かべる。
そして、
玄関のドアノブに手をかけたとき――
背後から、小さく車のエンジン音が聞こえた。
振り返ると、角を曲がる寸前、橘の乗った車が一瞬だけブレーキランプを点灯させたように見えた。
まるで、またすぐ会えると伝えるように。
「うん……おやすみ、橘さん」
そう言って、紗良は自宅へと戻っていった。
その背中には、かすかな期待と、まっすぐな想いが宿っていた。



