お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

再び呼び出された大臣執務室。
革張りの椅子に父が座り、その傍らには警護課のトップ城田が立っていた。
部屋には重く静かな空気が流れている。

(ああ、きっとそうだ。言われるんだ)
紗良はうすうす予感していた。

最近、何かが少しずつ変わっている。
スーパーに行くときも、以前のようなピタリと背後につく警護ではなくなった。
駐車場も、一緒に歩いて行けるようになった。
通院は今も裏口だけれど、警護の姿は控えめになっている。

明らかに、リスクレベルが引き下げられている。
——つまり、警護体制が、まもなく解除されるということ。

(そうなったら、橘さんとは……)

喉元までこみ上げる焦りと不安を、紗良はそっと飲み込む。
だが、決めていた。
今日ここで、自分の意思をはっきり伝えると。

「お父さん」
凛とした声で紗良は言葉を切り出す。

「これからも、橘さんのそばにいることを、どうか認めてください」

父の眉がわずかに動く。
それを前にしても、紗良は視線を逸らさなかった。

「私はもう、警護官としてではなく、一人の人間として——橘航太さんを大切にしていきたいと思っています。恋人として、彼とこれからも一緒に歩んでいきたいです」

一瞬、空気が張り詰めた。
城田が視線を落とし、父はしばし沈黙したまま紗良を見つめていた。