お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

午後、セラフィコ本社の上層階にある会議室に、経営陣と竹下部長、高坂が揃っていた。
重い空気が漂う中、会議は岡島結菜の処分について始まった。

「結果として、情報が外部に漏れたことは事実です。
たとえ本人に意図がなかったとしても、社の機密が漏洩するリスクを内包した行為に変わりはない。
私は懲戒免職が妥当だと考えます」

経営役員の一人がそう口火を切ると、数名の役員たちがうなずいた。
事案の重大性を思えば、処分は避けられないという空気が会議室を包み込む。

だが、竹下部長は静かに手元の書面を取り出し、ゆっくりと口を開いた。

「この件に関しては、岡島の直属の上司である一ノ瀬紗良さんから、書面で意見を預かっています。
読み上げます」

竹下が紗良の言葉を淡々と、しかしどこか抑えた感情を乗せて読み上げていく。


『岡島さんの件について、すべての経緯を伺いました。
当初は、彼女が意図的に情報を漏らしたのではないかと疑い、深く苦しみました。
ですが、捜査が進むにつれ、
彼女の不用意な発言が結果的に私を危険に晒したのだと知り、見方が変わりました。

私自身、意図せぬ形で他者の悪意や誤解にさらされ、
多くの誹謗中傷と、
身の危険に怯える日々を経験しました。
その無力感と恐怖は、今も記憶に焼きついています。
そして今、岡島さんもまた、自分の言動が思わぬ形で人を傷つけた事実に、深く心を痛めているはずです。

私は、岡島さんに責任を問うつもりはありません。
むしろ、彼女にはこの経験を糧に、
再びセラフィコの一員として前を向いて歩んでいってほしいと心から願っています。』


会議室は静まり返った。
怒りや懸念の声が途切れ、沈黙の中で、それぞれが紗良の言葉を受け止めていた。

「…少なくとも、被害当事者である一ノ瀬さんがこう言っている。これは無視できませんね」

高坂がそう呟いたとき、役員の一人が軽くため息をついた。

「処分を回避するにしても、再発防止のための何らかの措置は必要です。
安全管理の再教育、定期的な倫理講習など…」

「もちろんです」と竹下が応じる。
「ただ、岡島にとって一番の戒めは、彼女自身がこの出来事を深く受け止めているということだと思います」

最終的に、岡島結菜は懲戒処分を免れ、
一定期間の謹慎と再教育プログラムの受講を条件に、復職が認められる方向で会議は終了した。