お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

二人は言葉もなく、しばらく見つめ合っていた。

どことなく、甘く静かな空気が流れる。

橘は紗良の前に膝をつき、自然と目線が同じ高さになる。
紗良はそっと手を伸ばし、彼の頬に触れた。

「……いつも、本当にありがとう」

その声はかすかに震えていた。
橘はまた、いつものように「仕事ですから」と言うのだろうか。
紗良はそう思っていた。けれど。

橘はその言葉を、しっかりと胸に受け止めたように頷き、そっと彼女の頭に手を乗せる。
やさしく撫でながら、耳元に顔を近づける。

「こちらこそ……あなたのような方をお守りできて、光栄です」

囁くようなその声に、紗良の胸がふっと熱くなった。

そして次の瞬間。
気づくこともないくらいに、ほんの一瞬だけ――橘は紗良を抱きしめた。
それは、重さのない、けれど確かな温もりだった。