お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

それから数日後。
紗良はようやく、捻挫していた足にそっと体重をかけて歩けるようになった。
肩の傷もすでに癒えて、医師からは「問題なし」とのお墨付き。
ただし、慢性的な貧血については、くれぐれも注意するようにと、退院の朝まで何度も釘を刺された。

「まだ完治じゃないんですからね。油断しないでくださいよ」
そう言ったのは医師か看護師か、それとも橘だったか。
紗良の耳には、どれも同じように聞こえていた。

帰宅の準備を進める中、過保護な警護官たちはというと――
「どこに行かれるんですか?」
「それは私たちがやりますから」
「無理は禁物ですよ」

とにかく何かにつけて、紗良がひとりで動くことを許してくれない。
挙げ句の果てには、「帰宅の移動は車椅子で」と旗野が言い出し、
松浦も当然のように頷き、河田に至ってはすでに病院の廊下で車椅子をスタンバイしていた。

紗良は最初こそ「そこまでしなくても」と渋ったものの、
橘が一歩前に出て「念のためです」と真顔で言うのを見て、静かにため息をついた。

「……もう、分かりました。愛情として受け取っておきます」

そう口にすると、橘がほんのわずかに微笑んだ。

退院の日。
車椅子に乗せられた紗良は、まるで一国の姫君のように警護官たちに囲まれて病院を後にするのだった。