お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

病室に朝の光が差し込む。静けさを破るように、紗良の声が響いた。

「誰かいますかー?」

ドアの外で立っていた橘がすぐに反応する。
「どうされました?」と扉を開けて入ってくる。

「冷蔵庫に入ってる水、取ってほしいです……足、動かなくて。」

橘はインカムに何かを一言呟くと、すぐに冷蔵庫を開け、水のペットボトルを取り出し、ベッド脇のテーブルに置いた。
「どうぞ。」

「ありがとうございます。」

数分後。

「誰かいますかー?」

今度は旗野が扉を開ける。「お嬢様、なんでしょう?」

「タオル落としちゃって~」と笑いながら指差す。
旗野は苦笑しつつ拾って手渡す。

さらに数分後。

「誰かいますかー?」

松浦が現れる。
「どうしました?」

「テレビのリモコン、あそこにあるんですけど……取ってください。」

松浦は「まったく……」と呟きつつ、無言でリモコンを差し出した。

そして、またしばらくすると──

「誰かいますかー?」

今度は、やや低いテンションの足音とともに橘が登場。
軽く扉を開けて中に入ると、眉をひそめながら口を開いた。

「私たちは雑用係じゃありません。本当に必要なとき以外は呼ばないでください。もう甘やかしませんよ。」

紗良はふくれっ面で口を尖らせた。
「だって寂しい…… 何にもすることないんだから。」

橘はやれやれと首を振る。
「そんなこと言っていられるのも今のうちですよ。さっき医師から、今日中に血液検査と心電図をすると聞きました。」

「……えっ」紗良は一気に顔色を変えた。

注射。心電図。嫌な単語が頭をぐるぐると回る。

「もうしないから許して……」

「別に、罰として検査するわけじゃないので」と橘が真顔でツッコミを入れると、紗良はまたふくれっ面になった