お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

早朝六時。まだ空が淡い青を残す中、警護課の一室には、冷たい空気と沈黙が満ちていた。

一ノ瀬紗良付きの警護官4人──橘航太、松浦志帆、旗野修司、河田遼──が向かい合って座っている。
各々が机の上の資料に視線を落とし、数秒ごとに重く言葉が交わされた。

「まず確認ですが、株主総会の代理出席の情報がどこから漏れたのか、まだ判然としていません。刑事課と公安は継続して捜査中です」
松浦が報告書の一部を指しながら冷静に言う。

「内部か、外部かも特定できていない。だがどこかに“綻び”があることは確かだ」と旗野が続けた。

「彼女の状態は?」と河田が橘に目を向けた。

「怪我の回復は順調です。精神的には……多少の不安定さはありますが、昨日の一ノ瀬大臣との対話のあと、落ち着きを取り戻しています。ただ――」

橘は少し言葉を選び、
「脅威が続いている限り、警護の負荷は大きいままです。
仮に病室の外で再び何かあれば、今度こそ取り返しがつかない」と、静かに言い切った。

「同感だ」と旗野が頷く。

「社内で情報が洩れたのなら、まだ敵は“内部”にいる。そこを押さえない限り、安心などありえない」

「彼女はまだ出社せず、療養を続ける予定だが、それでも何らかの“動き”があれば、
狙われる可能性は残る」松浦が厳しい声で言った。

「じゃあ、どうする?」と河田が全員に目を向けた。

重い沈黙のあと、橘が静かに口を開く。

「――このチームで、彼女を守り抜きましょう。他に選択肢はない」

その言葉に、松浦が軽く頷き、
旗野は深く呼吸を整え、河田も真剣な眼差しで応じた。

彼らの前には、まだ多くの謎と危機が横たわっている。

だが一つだけ、確かなことがあった。

“この命を懸けてでも、彼女を守る”

それが、彼ら全員の共有された覚悟だった。