お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

その頃、一ノ瀬岳は自宅前に到着し、車のドアに手をかけたところでふと動きを止めた。
夜の街灯に照らされる中で、彼は助手席を振り返る。

「遠藤」

「はい、大臣」

「警護課に伝えてくれ。橘と紗良……あの二人を、あたたかく見守るように」

遠藤はすぐに「はい」と答えたが、その目にはわずかに戸惑いが浮かんだ。

(……あたたかく、見守る?)

無線でも記録でもなく、口頭で指示された曖昧な言葉。
だがそれは、命令ではなく“願い”だったのかもしれない──そう直感した遠藤は、小さく頷き、静かに車を降りた。