父が「じゃあ、あとは若い二人で話しなさい」と言って席を立つと、颯爽と部屋を出て行った。
ドアが閉まり、室内に静寂が戻る。
二人きりの空間に、空調の音だけが優しく響いていた。
紗良はまだ頬を赤く染めたまま、
うつむいていたが、
しばらくして少しずつ呼吸を整えるようにして顔を上げた。
「……お疲れなのに、急に呼び出して……変なこと言って、すみません」
どこか気まずそうに、
それでもまっすぐな言葉で謝る紗良に、
橘はふわっと柔らかく笑った。
「……紗良さんの顔、見たら疲れなんて吹き飛びます」
その言葉には心からの安堵がにじんでいた。
紗良はその優しさに照れながらも、
そっと目を合わせる。
そして次の瞬間、そっと左手を橘に向かって差し出した。
橘は迷わずその手を優しく握ると、もう片方の手で紗良の髪を撫でた。
それは慈しむようで、温かく、安心感に満ちていた。
撫でられる感触に、紗良はまるで子供のように目を細め、
うっとりとした表情を浮かべた。
今までで一番、心が穏やかになる瞬間だった。
しばらくの沈黙が、ただ心地よかった。
やがて、紗良のまぶたがゆっくりと落ちていくのを見て、
橘はそっと声をかける。
「……少し横になって休んでください。また明日、来ますからね」
紗良は小さく頷き、ベッドに身を沈めた。
橘はそれを見届けると、静かに部屋を後にした。
ドアが閉まり、室内に静寂が戻る。
二人きりの空間に、空調の音だけが優しく響いていた。
紗良はまだ頬を赤く染めたまま、
うつむいていたが、
しばらくして少しずつ呼吸を整えるようにして顔を上げた。
「……お疲れなのに、急に呼び出して……変なこと言って、すみません」
どこか気まずそうに、
それでもまっすぐな言葉で謝る紗良に、
橘はふわっと柔らかく笑った。
「……紗良さんの顔、見たら疲れなんて吹き飛びます」
その言葉には心からの安堵がにじんでいた。
紗良はその優しさに照れながらも、
そっと目を合わせる。
そして次の瞬間、そっと左手を橘に向かって差し出した。
橘は迷わずその手を優しく握ると、もう片方の手で紗良の髪を撫でた。
それは慈しむようで、温かく、安心感に満ちていた。
撫でられる感触に、紗良はまるで子供のように目を細め、
うっとりとした表情を浮かべた。
今までで一番、心が穏やかになる瞬間だった。
しばらくの沈黙が、ただ心地よかった。
やがて、紗良のまぶたがゆっくりと落ちていくのを見て、
橘はそっと声をかける。
「……少し横になって休んでください。また明日、来ますからね」
紗良は小さく頷き、ベッドに身を沈めた。
橘はそれを見届けると、静かに部屋を後にした。



