橘が椅子に腰を下ろすと、向かいのベッドにいる紗良と目が合った。
その瞬間、紗良の顔がぱっと赤く染まり、まるでフリーズしたかのように固まる。
真っ赤になった頬、わずかに見開かれた目、手はぎこちなく膝の上で固まっている。
橘はそんな彼女の様子に、首をかしげた。
「……どうかされましたか?」
その優しい声に、紗良はさらに顔を赤らめ、視線をあちこちにさまよわせた。
何か言おうとしても、言葉が出てこない。
頭の中が真っ白になる。
(“これが恋”だなんて、気づかなければ良かった——)
父がそんな初々しい様子に業を煮やし、口を挟んだ。
「紗良、率直な気持ちを伝えれば良いんじゃないか」
笑いを含んだ声が、部屋の空気を和らげる。
橘は少し困ったように笑いながら、
「……紗良さん、何かありましたか?」
と、まるでそっと背中を押すような優しさで問いかけた。
紗良は大きく息を吸い、瞳をきゅっと閉じて——
「えっと、あの、なんというか……なんか、私、橘さんのことが好きみたいで……」
静寂の中に、父の吹き出すような笑い声が響いた。
「——っ!」
紗良は自分が父の前で“公開告白”をしてしまったことに気づいた瞬間、顔から炎でも噴き出すような勢いで俯いた。
橘は思わず苦笑いしながら、紗良と父を交互に見つめ、
「ありがとうございます」
と、静かに頭を下げた。
その反応に、父は「まったく、もどかしいな」と小さく呟き、ふたりの間に手を伸ばす。
「よし、もうこうするしかないな」
そう言って、紗良の左手と、橘の右手をぐいっと取って、無理やり重ね合わせた。
「お、お父さん!」
紗良があわてて叫ぶが、父はいたずらっぽく笑いながらこう続けた。
「ずっと前から知ってたぞ。お前たちのことは、旗野がなんでも話してくれるからな」
「……旗野さんが?」
橘が驚いたように聞くと、
「うん。旗野はな、私が副財務大臣だった頃の警護班の班長でな。あいつとは長い付き合いなんだよ。なんでも話すし、なんでも見抜くからな」
そう言って、父はどこか誇らしげに腕を組んだ。
その瞬間、紗良の顔がぱっと赤く染まり、まるでフリーズしたかのように固まる。
真っ赤になった頬、わずかに見開かれた目、手はぎこちなく膝の上で固まっている。
橘はそんな彼女の様子に、首をかしげた。
「……どうかされましたか?」
その優しい声に、紗良はさらに顔を赤らめ、視線をあちこちにさまよわせた。
何か言おうとしても、言葉が出てこない。
頭の中が真っ白になる。
(“これが恋”だなんて、気づかなければ良かった——)
父がそんな初々しい様子に業を煮やし、口を挟んだ。
「紗良、率直な気持ちを伝えれば良いんじゃないか」
笑いを含んだ声が、部屋の空気を和らげる。
橘は少し困ったように笑いながら、
「……紗良さん、何かありましたか?」
と、まるでそっと背中を押すような優しさで問いかけた。
紗良は大きく息を吸い、瞳をきゅっと閉じて——
「えっと、あの、なんというか……なんか、私、橘さんのことが好きみたいで……」
静寂の中に、父の吹き出すような笑い声が響いた。
「——っ!」
紗良は自分が父の前で“公開告白”をしてしまったことに気づいた瞬間、顔から炎でも噴き出すような勢いで俯いた。
橘は思わず苦笑いしながら、紗良と父を交互に見つめ、
「ありがとうございます」
と、静かに頭を下げた。
その反応に、父は「まったく、もどかしいな」と小さく呟き、ふたりの間に手を伸ばす。
「よし、もうこうするしかないな」
そう言って、紗良の左手と、橘の右手をぐいっと取って、無理やり重ね合わせた。
「お、お父さん!」
紗良があわてて叫ぶが、父はいたずらっぽく笑いながらこう続けた。
「ずっと前から知ってたぞ。お前たちのことは、旗野がなんでも話してくれるからな」
「……旗野さんが?」
橘が驚いたように聞くと、
「うん。旗野はな、私が副財務大臣だった頃の警護班の班長でな。あいつとは長い付き合いなんだよ。なんでも話すし、なんでも見抜くからな」
そう言って、父はどこか誇らしげに腕を組んだ。



