お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

「村上さん、医療キットを」

橘が落ち着いた声で言うと、村上がすぐに持ち運び用の救急バッグを取り出して広げる。

「まずは肩の処置を続けます。傷、深くはありませんが……しっかり洗浄しておきますね」

そう言いながら、橘は自分のハンカチをそっと抜き取り、代わりに滅菌ガーゼを傷口に当てた。
無駄な血が染みていくたびに、紗良の表情がこわばる。

「痛みますか?」

「……はい、でも、我慢できる……」

「偉いです。すぐ終わりますよ」

橘は生理食塩水で傷口を優しく洗い、血を拭き取ると、新しいガーゼとパッドで清潔に保護し、
その上からしっかりとテープで固定していった。

「これでひとまず、感染の心配はありません。後で医師の診察を受けましょう」

続いて、紗良の足元へ視線を落とす。

「……捻りましたね。腫れてきてます。固定します」

松浦が足首を支え、橘が包帯とテーピングで素早く、しかし丁寧に足首を固定していく。
二人の手つきは迷いがなく、安心感すら感じられるほどだった。

「少し動かしにくくなりますが、安静にするには必要です」

「……本当に、ありがとう……」

息を吐きながら、紗良はようやく背中の力を抜いた。

痛みも、恐怖も、まだそこにある。
でも確かに、今この瞬間は──守られている。