お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

一瞬の沈黙のあと、紗良はマイクに向かって口を開いた。
明瞭な英語で、しっかりとした声だった。

“We recognize the concerns regarding transparency.
As the acting head of the Advertising Strategy Division,
I can assure you that we are currently reviewing all communication protocols related to investor relations.
Our aim is to rebuild trust through consistent, data-based messaging.”

(ご指摘の透明性の問題については真摯に受け止めております。
広告戦略部の代理責任者として、投資家との情報共有プロセスを現在見直しており、
今後は一貫したデータ主導のメッセージ発信で信頼回復に努めてまいります)

やや緊張した面持ちの通訳者が、簡潔に日本語に訳す。
会場がわずかにざわついた。

だが、筆頭株主の男はひるまなかった。
低く、さらに鋭い言葉を投げかける。

“Words alone won’t suffice.
How can we be certain that the so-called ‘data-based messaging’ isn’t just another layer of spin?”

(言葉だけでは信じられない。
“データ主導”というのが、単なる取り繕いではないと、どうやって保証するのか?)

通訳が再び訳すと、会場に一瞬、緊張が走った。
質問は、紗良本人の専門分野──広報・戦略──の核心を突いていた。

紗良は内心で息を整えた。
次の返答が、鍵となる。