お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

部屋に残ったのは、紗良と橘の二人だけだった。
一瞬の静けさの中で、橘がふと口を開いた。

「……あまり、私のことを広く紹介しないでください」

唐突な言葉に、紗良は目を丸くする。

「それって……警護上の理由?」

橘は小さく首を振った。「いえ。個人的な気持ちです」

紗良は数秒黙って、やがて肩をすくめながら笑った。

「ならいいじゃない。だって、私の自慢のSPなんだもん。誰にでもは言えないからこそ、小出しにしてるのよ」

その言葉に、橘は珍しく声を出して笑った。
少しあどけないような笑みを紗良に向ける。

その瞬間だった。
「交代ですよー。職場でイチャイチャしないでくださいねー」

旗野が扉から顔をのぞかせた。茶目っ気たっぷりに口をとがらせて言う。

橘は瞬時に真顔に戻り、紗良は「ちが……っ」と慌てて立ち上がり、橘との距離を一歩とった。

旗野はくすくす笑いながら、「はいはい、お邪魔しました」と手を振り、今度こそ真面目な表情で室内に入ってきた。