チャイムの音とともに、医師と看護師が到着した。
玄関先で橘は淡々と手続きを進める。
二人に身分証の提示を求め、確認を終えるとようやく扉を開けて、丁寧に室内へと案内した。
どこか、橘自身が医療の現場にいたことを感じさせる、無駄のない動きだった。
診察中、橘は少し離れた場所で立ち、見守るだけだった。
医師は紗良の脈を診ながら、首をかしげる。
「脈が少し乱れています。すぐに何かあるわけではないですが、心電図で一度詳しく見ておいたほうが安心です」
「また、貧血の所見もまだ残っています。時間が取れそうなときに、血液検査で経過を見せてくださいね」
紗良はただ小さくうなずくだけだった。張り詰めた糸をそのまま指で押さえられているような気がして、表情を崩すことができなかった。
診察は二十分ほどで終わり、医師と看護師が帰っていった。
リビングに静寂が戻ると、そこにはわずかに気まずさを含んだ沈黙が流れた。
橘はテーブルの横に立ったまま、何も言わない。
紗良は、ダイニングチェアに腰掛けたまま、ぽつりとこぼした。
「……もう、限界かも」
その声は、聞き取れるかどうかの、かすかな震えを帯びていた。これまで何があっても表に出さなかった弱音を、紗良はようやく言葉にした。
橘は少し目を伏せてから、ゆっくりと答えた。
「──私にできることは、ありますか」
玄関先で橘は淡々と手続きを進める。
二人に身分証の提示を求め、確認を終えるとようやく扉を開けて、丁寧に室内へと案内した。
どこか、橘自身が医療の現場にいたことを感じさせる、無駄のない動きだった。
診察中、橘は少し離れた場所で立ち、見守るだけだった。
医師は紗良の脈を診ながら、首をかしげる。
「脈が少し乱れています。すぐに何かあるわけではないですが、心電図で一度詳しく見ておいたほうが安心です」
「また、貧血の所見もまだ残っています。時間が取れそうなときに、血液検査で経過を見せてくださいね」
紗良はただ小さくうなずくだけだった。張り詰めた糸をそのまま指で押さえられているような気がして、表情を崩すことができなかった。
診察は二十分ほどで終わり、医師と看護師が帰っていった。
リビングに静寂が戻ると、そこにはわずかに気まずさを含んだ沈黙が流れた。
橘はテーブルの横に立ったまま、何も言わない。
紗良は、ダイニングチェアに腰掛けたまま、ぽつりとこぼした。
「……もう、限界かも」
その声は、聞き取れるかどうかの、かすかな震えを帯びていた。これまで何があっても表に出さなかった弱音を、紗良はようやく言葉にした。
橘は少し目を伏せてから、ゆっくりと答えた。
「──私にできることは、ありますか」



