お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

竹下部長の部屋から戻る頃には、昼休みの時間も残りわずかだった。

けれど、不思議と空腹は感じなかった。あの重たい資料を手渡された瞬間から、胃のあたりがきゅっと締めつけられているような感覚が続いている。

(……食べなきゃいけないのはわかってるけど)

紗良はひとり心の中でつぶやいた。

以前の自分なら、昼食を抜くことなど気にも留めなかっただろう。けれど、今は——

(松浦さんが見てる。私が食べなければ、きっと橘さんに報告が行く)

そう思って、足は自然と社内のオフィスコンビニへ向かっていた。

並べられた商品を見つめながら、適当におにぎりを二つと、ヘルシー志向のおかずセットを一つ手に取る。豆腐ハンバーグに、ほうれん草のおひたし、煮物が少し。彩りは控えめで、量もそこそこ——まさに「食べてます」アピールにはちょうどいい。

(食べたいからじゃない。ただのアピール)

無言で商品を袋に詰めながら、ちらと視線をやれば、すぐ横には松浦の姿。無駄な会話もなく、淡々と歩調を合わせてついてくる。