執務室のドアがしっかりと閉じられ、そのすぐ外で松浦が警戒に立つ。
背筋を伸ばし、時折インカムに耳を傾けながら、室内の動向にも目を光らせている。
一方、室内ではキーボードの打鍵音が鳴り響き、ファイルが次々と積まれ、また減っていく——。
「この報告書、修正済みの最新版に差し替えてください。あと、こっちは印刷と回覧に回して」
紗良の声は冷静で、でもどこかいつもより熱を帯びていた。
「了解です!」
応援で駆けつけた新人の宮崎が、慌てながらも懸命に書類を抱えて走っていく。
坂口も額に汗を浮かべながら、ディスプレイに目を走らせていた。
「いやもう、ホントに……一ノ瀬さんがいないってだけで、こんなに会社まわらなくなるなんて……」
愚痴のような、でもどこか安心した声だった。
紗良は小さく笑って、手を止めることなく言った。
「……みんな、本当ごめんね。今日のランチ、私が奢るから! なんとか乗り切ろう!」
「マジっすか!」
宮崎が、書類の束の向こうから身を乗り出す。
「え、それって本気のやつ?!」
坂口も食いつきながら、だが手はしっかりと動いている。
「もちろん。何食べたい?」
「……うーん、奢りって聞いたら急にお腹空いてきた……がっつり系も捨てがたいけど、パスタも良くないですか?え、いやでも最近オムライスのお店できたし……」
仕事量の山に埋もれながらも、ランチ選びには全力で悩む坂口の姿に、紗良はつい吹き出した。
「気が早いなぁ。とりあえず、仕事が片付いてから考えよう?」
「はーい! でも奢りですからねっ、絶対!」
と、言いつつも坂口は再びパチパチとキーボードを叩き始める。
そんな“日常”の風景が、紗良にはどこか懐かしくて、ありがたくて。
「……ただいま」
声に出さず、心の中でそっと呟いた。
背筋を伸ばし、時折インカムに耳を傾けながら、室内の動向にも目を光らせている。
一方、室内ではキーボードの打鍵音が鳴り響き、ファイルが次々と積まれ、また減っていく——。
「この報告書、修正済みの最新版に差し替えてください。あと、こっちは印刷と回覧に回して」
紗良の声は冷静で、でもどこかいつもより熱を帯びていた。
「了解です!」
応援で駆けつけた新人の宮崎が、慌てながらも懸命に書類を抱えて走っていく。
坂口も額に汗を浮かべながら、ディスプレイに目を走らせていた。
「いやもう、ホントに……一ノ瀬さんがいないってだけで、こんなに会社まわらなくなるなんて……」
愚痴のような、でもどこか安心した声だった。
紗良は小さく笑って、手を止めることなく言った。
「……みんな、本当ごめんね。今日のランチ、私が奢るから! なんとか乗り切ろう!」
「マジっすか!」
宮崎が、書類の束の向こうから身を乗り出す。
「え、それって本気のやつ?!」
坂口も食いつきながら、だが手はしっかりと動いている。
「もちろん。何食べたい?」
「……うーん、奢りって聞いたら急にお腹空いてきた……がっつり系も捨てがたいけど、パスタも良くないですか?え、いやでも最近オムライスのお店できたし……」
仕事量の山に埋もれながらも、ランチ選びには全力で悩む坂口の姿に、紗良はつい吹き出した。
「気が早いなぁ。とりあえず、仕事が片付いてから考えよう?」
「はーい! でも奢りですからねっ、絶対!」
と、言いつつも坂口は再びパチパチとキーボードを叩き始める。
そんな“日常”の風景が、紗良にはどこか懐かしくて、ありがたくて。
「……ただいま」
声に出さず、心の中でそっと呟いた。



