お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

ケーキを最後のひと口まで味わい終えると、ちょうどそのタイミングを見計らったように、病室のドアがノックされて開いた。

「失礼します。検査結果が出ましたので」

医師がタブレット端末を片手に入ってきて、軽く会釈をすると、手早く画面をスクロールさせながらデータを確認していた。眉間にしわが寄るわけでも、深刻な面持ちを見せるわけでもないが、何かを考えているように首をほんの少し傾ける。

「お身体、しんどくないですか?」

その視線がふと紗良に向けられる。静かな問いかけに、紗良は少しだけ戸惑ったように瞬きをして、そして自分の胸元に目を落とした。

「……しんどいと感じることは、あります。でも……それが何の“しんどさ”かわからないというか」

ぽつりと口にしてから、紗良は少しだけ自嘲気味に笑った。

「あはは、すみません。変な言い方ですよね」

(――たしかに、最近はよく疲れる。だけどそれは、SNSで何度も目にした心ない言葉のせいだと思ってた。
食欲がわかなくなったのも、ご飯の味がしなかったのも、全部、気の持ちようだって……そう思ってた)

「でも、原因の一部は身体にもありましたよ」と、医師はやさしく語りかけるように言った。

「検査の結果、慢性的な貧血が見られます。鉄分の数値が明らかに低いですね。これまでにも、耳鳴りや立ちくらみ、あとは……気を失いかけたことはありませんでしたか?」

そう問われて、紗良は小さく目を伏せるようにして答えた。