朝の光がカーテン越しに差し込む中、紗良は食事を終えたばかりだった。
体調はだいぶ落ち着いているものの、朝方の立ちくらみのことがあり、担当医が病室を訪れてきた。
「おはようございます、一ノ瀬さん。今朝の症状、拝見しました。少し貧血もあるようなので、念のため血液検査もしておきましょうか」
白衣のポケットに手を入れ、穏やかな口調で医師が言うと、紗良はびくりと体をこわばらせた。
「……血液検査?」
一拍おいて、彼女は顔をしかめ、ベッドの上でそっと体を縮こまらせた。
「……絶対に嫌です!」
その言葉には、子どものような抵抗と、切実な恐怖が入り混じっていた。
「注射とか……苦手なんです。ほんとに、もう……無理です」
あまりの真剣な訴えに、医師は一瞬口をつぐんだ後、困ったように眼鏡を直しながら、そっと溜息をついた。
そしてなぜか、部屋の隅に立っていた警護担当の旗野と橘へ、助けを求めるような視線を送る。
「……あの、どうにかなりませんかね」
何がどうなるのか分からないが、彼の視線が“助けて”と語っているのは確かだった。
病室に一瞬、奇妙な沈黙が落ちる。
旗野は目を逸らし、橘はまっすぐ紗良を見つめたまま、腕を組んだまま動かない。
一体どうしたらいいのか……そんな空気の中、次に動くのは、きっと橘なのだろうという予感だけが漂っていた。
体調はだいぶ落ち着いているものの、朝方の立ちくらみのことがあり、担当医が病室を訪れてきた。
「おはようございます、一ノ瀬さん。今朝の症状、拝見しました。少し貧血もあるようなので、念のため血液検査もしておきましょうか」
白衣のポケットに手を入れ、穏やかな口調で医師が言うと、紗良はびくりと体をこわばらせた。
「……血液検査?」
一拍おいて、彼女は顔をしかめ、ベッドの上でそっと体を縮こまらせた。
「……絶対に嫌です!」
その言葉には、子どものような抵抗と、切実な恐怖が入り混じっていた。
「注射とか……苦手なんです。ほんとに、もう……無理です」
あまりの真剣な訴えに、医師は一瞬口をつぐんだ後、困ったように眼鏡を直しながら、そっと溜息をついた。
そしてなぜか、部屋の隅に立っていた警護担当の旗野と橘へ、助けを求めるような視線を送る。
「……あの、どうにかなりませんかね」
何がどうなるのか分からないが、彼の視線が“助けて”と語っているのは確かだった。
病室に一瞬、奇妙な沈黙が落ちる。
旗野は目を逸らし、橘はまっすぐ紗良を見つめたまま、腕を組んだまま動かない。
一体どうしたらいいのか……そんな空気の中、次に動くのは、きっと橘なのだろうという予感だけが漂っていた。



