「 ……六花 」

「 真珠様、こちらにいらっしゃったんですね 」



揺れていた木の方へ足を進めれば、
すぐに六花の姿が見えた。

六花はにこやかに笑う。



スペースに戻ると、
ママと鈴鹿さんは座って話をしていた。

カメラが回って、取材が再開する。



ふと、さっきの暖さんが見せてくれた写真が、
色とりどりに輝く夜景が、頭に浮かんだ。

同時に、
パシャパシャっと光が降ってくる。



「 ……本日はありがとうございました。
" Shirayuki " の未来、心に響くお話でした 」

「 貴重な機会を、ありがとうございました 」



取材が終わると、
空はオレンジ色に染まっていた。

色鮮やかな庭園が、
来たときと異なる表情を見せる。



「 真珠、今日は一緒にいられて楽しかったわ 」

「 私もです、お母さま 」



ママに別れを告げて、車へ乗り込む。
オレンジ色と藍色が混ざった、薄暗い空。



藍色が夕焼けを溶かして、
これから夜が始まっていく景色。

鮮やかな夜を、
見に行くことができたら……。



頭をよぎったのは、
白雪の第一令嬢には叶えられない想像だ。



清く、正しく、美しい世界で
私――白雪 真珠は、生きている。