ぶどうジュースと夏の誓い



 昭和初期に建てられたレトロな建物の一階は、「朝ごはん屋さん」。気さくな親父さんがつくる卵かけご飯は絶品なの。その建物の二階が「しおかぜ塾」なんだ。
 わたしは今日も7時15分、一階の店で卵かけご飯に納豆トッピングの「スペシャルメニュー」を注文。元気の源、朝ごはんは大切なんだよ。肌にだっていいと思う!

 7時20分。「彼」が現れた。
 私の食べている納豆卵かけご飯を優しい目で見ると店の親父さんに「おはようございます」と挨拶して、
「あの子と同じの、頼めますか」と聞いてる。

 親父さんは「あーいよ」と答えて、湯気の出てる釜からほかほかのご飯をよそってる。
 彼は窓際の、少しだけ海が見える「特等席」のテーブルに、一人だけで陣取った。

「坊ちゃん。成績いいんだってな。上の塾の先生してる妹が話してたよ」

 親父さんが、気さくにその人に声をかけるけれど、その人はどこか機嫌悪そうに黙る。

「別に。……そんなこと、ないっすよ」
 なんて答えながら、スマホゲームをやってた。