わたしも水玉ワンピースだけれど、鎌倉の雑貨屋さんで二千円くらいで買ったもの。
  
 速水さんって上流家庭なんだな。着こなしの格が違うもんね!

「なんでもないよ。お父さんに褒められたんだ。伊月も頑張ってるって。あのね。速水さん。わたしがいるってことは、葉月兄貴も来てるからね! くれぐれも火花散らさないでね!」

 速水さんはおかしそうに、声をひそめて笑ってる。

「伊月ちゃんって面白いよね」

 褒め言葉なのか、そうでないのか微妙なライン。

「じゃあさ。兄貴と喧嘩しないように、伊月ちゃん、俺のこと見張ってなよ。まだお皿、空みたいだし、一緒にとりにいこう」

 速水さんはなんだかんだと紳士。
 
 兄貴のことは口実で、わたしたちが一緒に回るきっかけをくれたんだね。