【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。

*おまけ*

夏の午後。蝉の声が遠くから響き、クーラーのきいたリビングには柔らかな静けさが流れていた。
美香奈は涼介のTシャツをゆるく羽織り、ソファに身を預けていた。
お腹にそっと手を添えると、すぐ隣で涼介がその上に耳を当て、「今日も元気かな?」とつぶやく。

「聞こえてる?」
「うん、今ちょっと動いた」
そう言って、涼介はまるで宝物を抱くように美香奈の体を包み込んだ。

その日の夜、涼介の実家を訪れた二人に、両親の弘信と恵は何度もうなずきながら目を潤ませていた。
「よくここまで…ありがとうね」
「早く会いたいなあ、元気な赤ちゃんに」
恵は美香奈の手を両手で包み込み、弘信は不器用ながらも「なんでも手伝うからな」と背筋を伸ばして言った。

――この小さな命が、どうか健やかに、無事に生まれてきてくれますように。

そんな願いが、家族みんなの胸に芽生えた夏の日。
三人で迎える未来を思い描きながら、美香奈と涼介はそっと目を合わせて微笑んだ。