一方その頃────
最近、美香奈の体調はあまり優れなかった。
生理が予定より遅れていて、少しずつ続く体のだるさ。
当初は、仕事の疲れだろうと2人とも軽く考えていた。
けれど、涼介はどこか胸騒ぎを覚えていた。
週末に合わせて時間を作り、そっと「一緒に行こう」と声をかけた。
美香奈も素直にうなずき、2人で病院へ向かった。
待合室では、お互いに言葉少なだった。
診察室に呼ばれ、医師の前に並んで座る。
優しそうな医師が問診を進め、診察を終えた後、ふっと柔らかく微笑んだ。
「おめでとうございます。お腹に赤ちゃんがいますよ」
その言葉を聞いた瞬間だった。
隣にいた涼介の肩がぴくりと震え、次の瞬間、ぐしゃっと顔をゆがめて、大粒の涙をこぼし始めた。
「……え、うそ、涼介?」
驚く美香奈よりも先に、涼介が声を詰まらせながら、泣き出してしまったのだ。
「お、お父さん、しっかりしてくださいね」
医師は苦笑しながら言う。
涼介は顔を両手で覆いながら、それでもどうしても涙が止まらない様子だった。
美香奈もその顔を見た途端、胸がいっぱいになり、ついにもらい泣きしてしまう。
診察が終わり、受付を済ませて病院を出るまで、2人は顔を見合わせては笑い、また涙をこぼし――
そんなことを繰り返していた。
駐車場に着いて車に乗り込んでも、まだ泣き笑いが止まらない。
「涼介……泣きすぎ……」
「だって……だって嬉しすぎるだろ……!」
言葉もぐしゃぐしゃになりながら、それでも互いの手をしっかりと握り合う。
この日、涼介と美香奈は、かけがえのない宝物を授かった喜びを、心の底からかみしめたのだった。
最近、美香奈の体調はあまり優れなかった。
生理が予定より遅れていて、少しずつ続く体のだるさ。
当初は、仕事の疲れだろうと2人とも軽く考えていた。
けれど、涼介はどこか胸騒ぎを覚えていた。
週末に合わせて時間を作り、そっと「一緒に行こう」と声をかけた。
美香奈も素直にうなずき、2人で病院へ向かった。
待合室では、お互いに言葉少なだった。
診察室に呼ばれ、医師の前に並んで座る。
優しそうな医師が問診を進め、診察を終えた後、ふっと柔らかく微笑んだ。
「おめでとうございます。お腹に赤ちゃんがいますよ」
その言葉を聞いた瞬間だった。
隣にいた涼介の肩がぴくりと震え、次の瞬間、ぐしゃっと顔をゆがめて、大粒の涙をこぼし始めた。
「……え、うそ、涼介?」
驚く美香奈よりも先に、涼介が声を詰まらせながら、泣き出してしまったのだ。
「お、お父さん、しっかりしてくださいね」
医師は苦笑しながら言う。
涼介は顔を両手で覆いながら、それでもどうしても涙が止まらない様子だった。
美香奈もその顔を見た途端、胸がいっぱいになり、ついにもらい泣きしてしまう。
診察が終わり、受付を済ませて病院を出るまで、2人は顔を見合わせては笑い、また涙をこぼし――
そんなことを繰り返していた。
駐車場に着いて車に乗り込んでも、まだ泣き笑いが止まらない。
「涼介……泣きすぎ……」
「だって……だって嬉しすぎるだろ……!」
言葉もぐしゃぐしゃになりながら、それでも互いの手をしっかりと握り合う。
この日、涼介と美香奈は、かけがえのない宝物を授かった喜びを、心の底からかみしめたのだった。



