長谷川が無事に着任を終え、少し遅めの夜。
自宅に戻ると、迎えてくれた美咲の笑顔に、張り詰めていたものがふっと緩む。
「おかえりなさい。お疲れさま、康太」
「ただいま。……やっと、ここまで来たよ」
玄関先で、美咲が差し出した手をぎゅっと握りしめる。
2人で肩を寄せ合いながらリビングに移り、ソファに腰を下ろすと、美咲はにっこりと微笑んだ。
「そうだ、前に言ってたでしょ?
合格したらご褒美用意しておくって」
長谷川は思い出して、照れたように笑った。
「そういえば……なんだっけ? 俺、めちゃくちゃ頑張ったんだから、すごいの期待していいよな?」
「うん、もちろん」
美咲は一瞬ためらうように視線を落としたあと、そっと長谷川の手を自分のお腹に当てた。
その仕草に、長谷川は一瞬きょとんとする。
「……え?」
「ご褒美ね、康太との赤ちゃんだよ」
ぽつりと告げられた言葉に、長谷川の目がまるく見開かれる。
何度も瞬きをして、言葉を探すように口を開いたが、声が出ない。
「ほんと……に?」
「うん、ほんと。まだ初期だから、これから慎重に過ごさなきゃだけど……」
それ以上言葉を重ねる前に、長谷川は美咲を抱きしめた。
しっかり、まるで壊れものを抱えるように優しく、でも強く。
「ありがとう、美咲。……本当に、ありがとう」
美咲もそっと長谷川の背中に手を回し、2人はしばらく何も言わずに抱き合った。
新たな命が宿ったこと。
それは、これまで共に積み重ねてきた時間への祝福であり、これから歩む未来への希望だった。
夜の静けさの中、2人の心は、温かく、確かに一つに結ばれていた。
自宅に戻ると、迎えてくれた美咲の笑顔に、張り詰めていたものがふっと緩む。
「おかえりなさい。お疲れさま、康太」
「ただいま。……やっと、ここまで来たよ」
玄関先で、美咲が差し出した手をぎゅっと握りしめる。
2人で肩を寄せ合いながらリビングに移り、ソファに腰を下ろすと、美咲はにっこりと微笑んだ。
「そうだ、前に言ってたでしょ?
合格したらご褒美用意しておくって」
長谷川は思い出して、照れたように笑った。
「そういえば……なんだっけ? 俺、めちゃくちゃ頑張ったんだから、すごいの期待していいよな?」
「うん、もちろん」
美咲は一瞬ためらうように視線を落としたあと、そっと長谷川の手を自分のお腹に当てた。
その仕草に、長谷川は一瞬きょとんとする。
「……え?」
「ご褒美ね、康太との赤ちゃんだよ」
ぽつりと告げられた言葉に、長谷川の目がまるく見開かれる。
何度も瞬きをして、言葉を探すように口を開いたが、声が出ない。
「ほんと……に?」
「うん、ほんと。まだ初期だから、これから慎重に過ごさなきゃだけど……」
それ以上言葉を重ねる前に、長谷川は美咲を抱きしめた。
しっかり、まるで壊れものを抱えるように優しく、でも強く。
「ありがとう、美咲。……本当に、ありがとう」
美咲もそっと長谷川の背中に手を回し、2人はしばらく何も言わずに抱き合った。
新たな命が宿ったこと。
それは、これまで共に積み重ねてきた時間への祝福であり、これから歩む未来への希望だった。
夜の静けさの中、2人の心は、温かく、確かに一つに結ばれていた。



