【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。

意見陳述のあと、裁判長が静かに口を開いた。

「以上を踏まえ、次回期日において判決を言い渡す。
本日はこれで閉廷とする」

カン――。

硬質な音が法廷に響き、すべてが一旦、区切られた。
傍聴席の人々が静かに立ち上がる。

美香奈も、そっと椅子から腰を上げた。
脚がわずかに震えるのを、涼介がすぐに支えてくれた。

廊下へ出ると、空気は重たく湿っていたが、
法廷内の緊張感に比べれば、どこか柔らかく感じた。

真木弁護士が、静かに口を開いた。

「よく頑張ったね。
すごく、すごく勇気のいることだったと思うよ」

美香奈は、ふっと力の抜けたような微笑みを浮かべた。

「……ありがとうございます」

涼介も隣で、短く、でも力強く頷いた。
美香奈の手をそっと引き寄せ、目を合わせる。

「よく頑張った。
ここまで、ちゃんと歩いてきたな」

その言葉に、美香奈の目頭がじわりと熱くなった。