【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。

ダイニングテーブルに座った涼介の手が、ぴたりと止まった。
その気配だけで、胸がきゅうっと苦しくなる。

「……無理だよ。今、忙しいの、分かってるでしょ」

低く、押し殺すような声。
怒っているわけじゃない。
わかってる。
でも、涼介自身も、限界なんだ。
だから、私の小さな願いすら、重荷になってしまった。

「……でも、ちょっとだけでも……」

声が、震えた。
情けないくらい、小さな声だった。

自分でも気づいてる。
涼介を困らせるだけだってこと。
それでも、口にせずにはいられなかった。

「我慢してくれよ、今は」

──あぁ、まただ。
また、私は、涼介の足を引っ張ってしまった。

「……わかった」

唇をかみ締めながら、それだけを絞り出す。
テーブルの上にあった食器を重ねる音が、やけに大きく響いた。