康太は、夕方の交番勤務を終えたあと、
駅前の小さなレストランへ急いだ。
カジュアルだけど、落ち着いた雰囲気の隠れ家的なお店。
あんまり気取った場所じゃないほうが、美咲はきっと居心地がいいと思ったからだ。
「……お待たせ!」
店に着くと、もう美咲が待っていた。
ふわりと笑う彼女を見て、康太は胸がぎゅっとなる。
(今日、言うんだ。絶対、ちゃんと伝えるんだ)
そう何度も自分に言い聞かせながら、席に着いた。
⸻
「このお店、初めて来たけど、すごくいいね」
メニューを開きながら美咲が微笑む。
普段通りの、美咲の何気ない仕草。
それすら、今夜はやけに眩しく見えた。
まともに顔を見られない自分を、
康太は心の中で「情けねぇなあ」と苦笑した。
食事が進み、デザートが出てきた頃。
康太は、ついに意を決した。
「……美咲」
「ん?」
「ちょっと、こっち来て」
言って、康太は自分の隣をぽんぽんと叩いた。
美咲は不思議そうにしながらも、席を立ち、
康太の隣に腰を下ろす。
そして——。
康太は、ポケットから小さなリングケースを取り出した。
ぱちん、と開くと、中にはきらりと光るシンプルな指輪。
「俺と、結婚してください」
声が震えないようにするのに必死だった。
手も、ほんの少し震えている気がした。
美咲は、一瞬ぽかんとしたあと、ぱっと顔をほころばせた。
「……やだ、びっくりした」
そして、ゆっくりと、頷いた。
「よろしくお願いします」
涙をこらえながら、笑って。
康太も、へにゃっと照れたような笑顔を浮かべた。
レストランの柔らかな灯りの中で、二人は静かに指を絡め、そっと抱き合った。
駅前の小さなレストランへ急いだ。
カジュアルだけど、落ち着いた雰囲気の隠れ家的なお店。
あんまり気取った場所じゃないほうが、美咲はきっと居心地がいいと思ったからだ。
「……お待たせ!」
店に着くと、もう美咲が待っていた。
ふわりと笑う彼女を見て、康太は胸がぎゅっとなる。
(今日、言うんだ。絶対、ちゃんと伝えるんだ)
そう何度も自分に言い聞かせながら、席に着いた。
⸻
「このお店、初めて来たけど、すごくいいね」
メニューを開きながら美咲が微笑む。
普段通りの、美咲の何気ない仕草。
それすら、今夜はやけに眩しく見えた。
まともに顔を見られない自分を、
康太は心の中で「情けねぇなあ」と苦笑した。
食事が進み、デザートが出てきた頃。
康太は、ついに意を決した。
「……美咲」
「ん?」
「ちょっと、こっち来て」
言って、康太は自分の隣をぽんぽんと叩いた。
美咲は不思議そうにしながらも、席を立ち、
康太の隣に腰を下ろす。
そして——。
康太は、ポケットから小さなリングケースを取り出した。
ぱちん、と開くと、中にはきらりと光るシンプルな指輪。
「俺と、結婚してください」
声が震えないようにするのに必死だった。
手も、ほんの少し震えている気がした。
美咲は、一瞬ぽかんとしたあと、ぱっと顔をほころばせた。
「……やだ、びっくりした」
そして、ゆっくりと、頷いた。
「よろしくお願いします」
涙をこらえながら、笑って。
康太も、へにゃっと照れたような笑顔を浮かべた。
レストランの柔らかな灯りの中で、二人は静かに指を絡め、そっと抱き合った。



