【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。

数日後の午後、涼介は仕事の合間を縫って、東京にあるウエディングプラン専門のオフィスを訪れていた。
事前に打ち合わせの予約を入れており、約束の時間より少し早く到着すると、プランナーが笑顔で迎えてくれる。

「神谷様、お待ちしておりました。本日はどのようなお話でしょうか?」

促されるまま応接スペースに通され、涼介は真剣な表情で切り出した。

「実は、フォトウエディングに加えて、美香奈に内緒でサプライズのディナーを企画したいんです。撮影の翌日、特別な夜を用意したいと思っていて」

プランナーは少し目を輝かせながら頷く。

「それは素敵なご提案ですね。撮影翌日に、神戸ルミエールスイートホテルのレストランでディナーをセッティングできます。
カジュアルでありながら洗練された雰囲気で、リラックスして楽しんでいただけると思います」

涼介はほっとしたように頷き、さらに話を続けた。

「ありがとうございます。参加者は、僕の両親、上司の篠宮さん、美香奈の上司である真木さん、それから親しい友人たちです。
堅苦しい披露宴ではなく、フォーマルすぎない会食のような雰囲気にしたいんです。
僕らも、タキシードやドレスじゃなくて、スーツとワンピースくらいの軽装で参加するつもりです」

「承知しました。では、フォトウエディングを中心にしたカジュアルな祝賀会、というイメージですね。
ゲストにも堅苦しくならないようにご案内しますね」

涼介は力強くうなずいた。

「はい、それでお願いします」

「会場の装飾や席の配置も、肩肘張らない感じにしましょう。お花やテーブルセッティングもナチュラルに整えます。メニューについても後ほどご提案させていただきますね」

「助かります。できれば、美香奈には最後まで気づかれないように進めたいんです」

「もちろん、細心の注意を払って準備いたします」

打ち合わせを終えた涼介は、大きく息をつきながら安心した表情を浮かべた。
その後も何度かメールや電話でプランナーと連絡を取りながら、少しずつサプライズは形になっていった。

日常ではそっけなく見えないように、何事もなかったように過ごしつつ――
ふとした瞬間に、美香奈がどんな風に驚いて、どんな笑顔を見せてくれるだろうと想像すると、
涼介の胸は自然と高鳴っていた。