チャラい社長は私が教育して差し上げます!

給湯室でカップにコーヒーを注ぎ、それをソーサーに乗せてポーションミルクとスティックシュガーとスプーンを添えた。それをトレイに乗せて社長室へ。

一応、これが私の秘書としての初仕事だと思うと、ちょっと感慨深いものがあった。

社長室に入ると、社長はサングラスを外していた。それを見て、私は少しホッとした。なぜなら、社長がチンピラ風ではなくなったから。ただし、ホスト風とも少し違う気がした。

「お待たせしました」
「おお、サンキュー。そこに置いてくれる?」

社長が顎で指したのは、ソファの前のローテーブルだった。

私は「はい」と言って、コーヒーのカップとソーサーをローテーブルにコトンと置き、「では……」と立ち去ろうとしたのだけど、

「そこに座って?」

と社長に言われてしまった。
私は、自分が座る理由が理解できず、どうお断りすれば角が立たないのだろう、と思ってもじもじしていたら、

「きゃっ」

社長に腕を引っ張られ、社長と並んで座る事になってしまった。しかも、社長がとても近い。

私は、少しお尻をずらして社長との距離を開け、膝をきちんと合わせてトレイをその上に乗せ、背筋を伸ばして浅く座った。

社長は何を話すのだろう。あるいは、何をするのだろうか……