チャラい社長は私が教育して差し上げます!

恵子と別れ、少し酔っ払い気味な私は、駅へ向かってフラフラ歩いていた。すると、私のスマホに着信があり、一瞬社長からかと思ったけど、そんなはずはない。社長にスマホの番号は教えていないのだから。

着信は、田舎の母からだった。

「もしもし、なーにー?」
『舞ったら、酔っぱらってるの?』

「うん、少ーしね」
『だったら、明日掛け直すわね?』

「いいから言ってよ。気になるから」

『そう? 実はお父さんがね、あなたに見合いさせろって言うのよ。お父さんの会社の部下で、家に来た事があるんだけど、とてもいい男性なの。どうかしら?』

「めんどくさいから嫌ー」
『そう言わずに。どうせいい人なんて、いないんでしょ?』

「はあ?」

私は母の言葉に切れてしまった。聡を含め、両親に恋人の話をした事はないから、母はそう思ったのだろうけど、あまりに失礼じゃない?

それと酔いも手伝い、

「男ぐらい、いるわよ。バカにしないでくれる?」

と言ってしまった。

『あらま、いるの? お父さん、舞には彼氏がいるんだって。え? ああ、はい』

何か丸聞こえだけど、何やってんだろ?

『男がいるって本当か?』

いきなり電話に父が出てびっくりした。

『舞、どうなんだ?』
「い、いるわよ」

『どんな男だ?』
「どんなって、超ハイスペックな男よ」

『田中よりもか?』
「田中って誰?」

『俺の部下だ』
「分かるわけないでしょ?」

『だったら俺が判定するから、すぐに連れて来なさい』

「すぐなんて無理。こことそっちで、何キロ離れてると思ってるの?」

『300キロだ』

あ、そうなんだ、知らなかった。

『じゃあ明日でいい。明後日でもいいから、連れて来なさい』

「そんなの無理だよ」
『おまえ、嘘言ってるだろ? 本当はいないんだろ?』

「嘘じゃないよ。彼に聞いてみるから、じゃあね」

『絶対に連れて来なさい』
「はいはい。電車に乗るから切るね」

ふー。なんか、まずい事になってない?

でも、まあいいか。のらりくらりしてれば、その内両親も諦めるでしょ。