チャラい社長は私が教育して差し上げます!

翌朝、私は早起きして朝ご飯を作ったのだけど、昨夜のムシャクシャした気持ちがまだ収まってなくて、めちゃくちゃ手を抜いてしまった。つまり、昨夜炊いたご飯にインスタントのお味噌汁。それとハムエッグと納豆のみだ!

そんな朝ご飯でも、社長は「旨い」を連発し、酷く上機嫌だった。ぶすっと無言で食べる私とは対照的に。

「これ、舞に渡しておくよ」

着替えのために空き部屋へ行こうとした私に向かい、社長が何かを差し出してきた。そして手渡されたのは、何かのカードだった。

「これは……?」
「この部屋のカードキーだ」

「こんな大切な物、私なんかが持ってていいんですか?」

「もちろんいいさ。一人で出入り出来ないと不便だろ?」

「ありがとうございます」
「いいって」

私は、数に限りのある貴重なカードキーの1枚を託された事が嬉しくて、昨夜のムシャクシャした気持ちが、一気に晴れて行くのを感じた。現金かもだけど。

「じゃ、行って来ます」
「おお、気を付けてな」

私はスマホでマンションからの最寄りの駅と、会社までの道程および所要時間を調べ、会社に始業の1時間前に着くべくマンションを出た。

あまり経験のない通勤ラッシュに翻弄されつつも、会社にはほぼ始業の1時間前に着いた。

私は制服に着替え、淹れたてのコーヒーを啜りながら、真っ先に社長の受信メールの整理に取り掛かった。すると、なぜか未読メールはほんの数件しかなく、その中に『明美ちゃん』からのメールを見つけてしまった。そしてその件名は、『メールありがとう』だった。