そして、食器洗いが終わり、わたしが仕事で留守にしている間に散らかった部屋の片付けをしていると、雄介が「なぁ。」と声を掛けていた。
「何?」
「一万ちょうだい。」
また始まった、、、
「昨日も、その前もあげたよね?」
「あー、また負けちまったんだよ。次こそ勝ってくるから。」
「雄介、、、何度も言ってるけど、生活が厳しいの。だから、少しパチンコ控えてくれない?」
「はぁ?お前、唯一の俺の楽しみを奪うのかよ。」
「そんなこと言われても、、、スマホゲームの課金で凄い請求きて払ったし、お金だって毎日一万ずつなんて渡せないよ。」
わたしがそう言うと、雄介はわたしを睨みつけ溜め息をつくと「あー、話しになんねぇ。」と言い、わたしに背を向けた。
"話しになんねぇ"?
それはこっちの台詞だよ!
そう思いながら、わたしはシャワーを浴びにお風呂場へ向かった。
シャワーを浴びて少し落ち着こう。
そして寒い浴室でわたしはシャワーを浴びると、身体が冷えてしまわないように急いでバスタオルで身体を拭き、着替えるとドライヤーで髪を乾かした。
はぁ、、、シャワー浴びても全然スッキリしない。
そう思い、居間に戻るとソファーの上に寝転がっていた雄介の姿がなかった。
あれ?もう寝たのかな?
そう思ったが、寝室のドアは開いたままだ。
そこで気付いたのが、ソファーの後ろに置いたままだったわたしのバッグの中身が飛び出ていた事。
え?嘘でしょ?
わたしは慌ててバッグのところまで駆け寄り、バッグの中から財布を取り出した。
すると、わたしの財布のチャックが半開きになっており、中を開いて見てみると、さっきおろしてきたばかりの全財産、6万円が消えていたのだ。
、、、やられた。
わたしは床に手を付き、絶望した。
次の給料日まで、あと三週間ちょっと。
支払いが済んでないものもある、、、
わたし、どうやって過ごしていけばいいの?
わたしは早くに両親を亡くしており、叔母に育てられたのだが、その叔母とも性格が合わず距離を置いている。
頼れる人なんて、わたしには一人もいない、、、
どうする?わたし、、、
そこで顔を上げ見上げてみると、その先にあったのは部屋干しをする為に備え付けてある物干し竿だった。
あの物干し竿から、、、ぶら下がれば、楽になれるかなぁ、、、



