こんな生活になったのは、半年前に雄介が仕事を辞めてからだ。

元々はわたしと雄介は同じ会社で働く同僚で、雄介はわたしとは違う店舗の担当社員と働いていた。

しかし、雄介が担当する店舗の売上は下がる一方で、よく上司から雷を落とされていた。

それで仕事が嫌になり、わたしに相談もなく、いつの間にか雄介は会社に退職届を提出していたのだ。

最初は職探しをしていた雄介だったが、何の資格もない32歳の転職はなかなか厳しく、雄介は次第に職探しをしなくなくなり、元々一人暮らしをしていたアパートの家賃が払えず滞納し、退去命令が出てしまった。

それから雄介はわたしの家に転がり込んで来て、雄介が滞納していた家賃はわたしの貯金から何とか支払い、雄介を養うことなってしまった。

雄介は働くこともなく、だからといって家事をしてくれるわけでもない。

わたしに小遣いを要求しては、パチンコへ行き、いつも負けて帰って来る。

お金が無くなれば、またお金を要求してきて、雄介に職探しの話を出せば殴られるので、それが怖くてわたしは何も言えなくなっていた。

わたし自身もそれほど給料を多くもらっているわけではないので、雄介を養いながら小遣いを渡す生活はかなり厳しかった。

いつしかずっと貯め続けていた貯金も無くなり、ギリギリの生活の中でわたし自身のメンタルも余裕が無く、憂鬱でしかなかった。

電子レンジがピーッピーッと鳴り、わたしは中から温まったバターチキンカレーを取り出すと、雄介の元へ持って行く。

すると雄介はプラスチックのスプーンを袋から出しながら「なぁ、金くれない?」と言い出した。

「えっ?昨日、一万円渡したばかりだよね?」
「もう無い。あと一万だけでいいから。」
「そんな無理だよ。今、ギリギリの生活してるんだから。」
「俺がその一万で勝って増やしてくるから!だから、あと一万!なっ?」

いつも負けて帰って来るくせに、その自信はどこからくるのか、、、

でも、雄介が不機嫌になるのが怖くて、わたしはまた雄介に一万円を渡してしまった。

「サンキュ!これで勝ってくるからみてろよ!」

そう言って、雄介はバターチキンカレーを頬張る。

わたしは何してるんだろう。
わたしは何で、この人と一緒に居るんだろう。