その後、喪中ハガキの受付が終わり、作業途中だった仕事を再開させようとすると、再び望田さんが「西森さん、年賀の受付来ましたよ。」と呼びに来た。

え、今やっと売場に戻って来たばかりで作業の続きをしようと思ったのに、、、

「分かりました。」

わたしはそう返事をすると、再び"年賀状、喪中ハガキ"受付カウンターへと戻った。

文房具担当は年賀状、喪中ハガキの印刷受付の承りも担当の為、9月から喪中ハガキの受付が始まり、10月からはそれに加え年賀状の受付も始まり、売場の仕事をしながら年賀状、喪中の受付をする為、なかなか売場の仕事が進まないことは日常茶飯事だった。

その為、残業や休日出勤をしないと仕事が片付かないのだ。

文房具担当は、わたしの他にもう一人時短の主婦さんだけで、本担当は望田さんと村川さんの他に三人、DVD担当は二人、一等くじの担当は特に決まっていない為、必然とわたしの担当のようなものになっていた。

こうして、文房具関係、年賀状と喪中の受付、一等くじのお客様が来た時には、わたしが他の作業をしていても、他の従業員はお構い無しに"わたしの担当じゃないから"と言わんばかりにわたしを呼びに来る。

この日、わたしは開店10時から19時までのシフトだったのだが、結局まともに休憩を取ることも出来ず、閉店の22時まで仕事をしていたのだった。

「はぁ、、、疲れたぁ。」

もうクタクタで帰るのすら面倒くさい。

わたしは仕事帰りであろうサラリーマンたちと共に地下鉄に乗り込むと、椅子の一番端に座り、手すりにもたれ掛かって地下鉄に揺られながら、終点まで目を閉じていた。

そして終点に着き、地下鉄から降りるとバッグの中でスマホが振動した。

わたしはバッグの中に手を突っ込み、手探りでスマホに手を触れ取り出すと、画面を見た。

するとLINEが届いていて、送り相手は恋人の菱田雄介からだった。

{ まだ帰って来ないの?腹減った。)

その言葉に溜め息をつく。

残業で疲れているところに、その言葉はあまりにも残酷で、返信する気にもなれなかったが、わたしは「ごめんね、残業で今帰り。何か買って帰るね。」と返信した。