最期の晩餐

 二人の視線に気づいたのか、ふとこちらを見た隼人のお母さんが、

「なんだ、来てるなら入ってくればいいじゃない‼ 一緒にトランプしましょう。人数多い方が楽しいでしょ? 奈々未ちゃんも一緒にやろう‼」

 私たちに手招きをした。

「私、仕事中なのでごめんなさーい。この二人、負かしちゃってくださーい」

 隼人と隼人のお父さんの背中を押して、談話室に押し込むと、

「任せとけー‼ 病人の底力見せたろうぜ‼」

 隼人のお母さんは私にガッツポーズを見せ、他の患者さんたちとスクラムを組んだ。

「病人だろうと容赦しないからなー‼」

 隼人が笑いながら隼人のお母さんの方へ向かった。隼人のお父さんも一緒に行くと思いきや、

「この前は、失礼なことばかり言って申し訳なかった」

 急に謝罪をしてきた。

「私、根に持つタイプですけど、謝ってもらえれば気が済む人間なので、許しまーす」

 隼人のお父さんの背中を「一緒にトランプしてきてください」と再度押すと、

「母さんが奈々未さんを好きな理由が何となく分かるわ。母さんと奈々未さん、ちょっと似てる」

 隼人のお父さんが『ククク』と笑った。

「惚れないでくださいよー。振るの面倒なので」

「百パーない」

『振ります』宣言をした私をバッサリ振って、隼人のお父さんもトランプに混ざりに行った。