最期の晩餐

「抱き合って元カノの髪を撫でる彼氏を信用出来る彼女って、この世に存在するの?」

 間接話法で『信用出来ない』旨を述べると、

「…………」

 隼人は言葉を返してこなかった。だったら、私が喋り続けるほかない。黙っていたら会話にならない。

「……ウチラ、付き合ってもうすぐ三年じゃん? 一緒にいて楽しいし、普通に仲も良かったけど、ラブラブか? って聞かれたら、そういう初々しさとかドキドキはもうないじゃん。そんな時にかつて好きだった女の子が現れた。しかも自分を頼っている。嬉しかったんでしょ? トキめいちゃったんでしょ? 元カノの髪を撫でる隼人のスケベ心が透けて見えて、なんか引いちゃったんだよね。私がどんなに嫌がっても、私の勘違い・私の誤解・ただの嫉妬ってことにして、元カノに会いたがってるのも気持ちが悪いんだよ。私が見たのは二回だけだけど、いつからふたりで会うようになってたの?」

「……四、五回会った。でも、本当に話しただけ」

「……全然気付かなかったなぁ。疚しくないなら言ってくれれば良かったのに」

 たった二回の逢瀬ではないとは予想してたけど、やっぱりそうだったんだと、眼球を涙が覆った。

「奈々未が嫌がると思って……」

「私に言ったら、元カノに会えなくなっちゃうもんね。スケベだなぁ」

 からかいながら嫌味を言って、唇を震わせながら笑った。泣くのは、あまりにも悔しいから。