「ちゃんと直談判してくれたのかよぉ……」
読み出しでは笑っていたくせに、読み終わる頃には泣いてしまった。
私は今、楠木さんがいなくなってしまって途方もない悲しみに暮れているし、幸せでも全然ない。
手紙に涙を落としてしまわぬように、しきりに手の甲で涙を拭う私の頭を撫でようとした隼人が、私の髪に触れそうになった瞬間に手を止めて引っ込めるのが見えた。
隼人と元カノの逢瀬を目撃した日に、私が『触らないで』と激怒したことを思い出したのだろう。キョロキョロと部屋の周りを見渡し、私がさっきベッドの枕元に移動させた箱ティッシュを見つけた隼人が、
「大丈夫?」
私にティッシュを箱ごと差し出した。
箱から大量にティッシュを抜き取り、目ではなく鼻に押し当て、豪快に洟をかむ恥じらいの無い私。隼人の元カノは、こんなことしないのかもしれない。隼人の前で、ずっと可愛いままでいるのかもしれない。私の努力が足りないのかもしれない。だとしたら、やっぱり隼人の浮気は責められないのかもしれない。……でも、私の部屋は1DKなのに、どこでかめと? いちいちトイレに行けと? ていうか、人目を忍んで洟をかまなくてはいけないような努力を強いられるお付き合いって、楽しいか?
読み出しでは笑っていたくせに、読み終わる頃には泣いてしまった。
私は今、楠木さんがいなくなってしまって途方もない悲しみに暮れているし、幸せでも全然ない。
手紙に涙を落としてしまわぬように、しきりに手の甲で涙を拭う私の頭を撫でようとした隼人が、私の髪に触れそうになった瞬間に手を止めて引っ込めるのが見えた。
隼人と元カノの逢瀬を目撃した日に、私が『触らないで』と激怒したことを思い出したのだろう。キョロキョロと部屋の周りを見渡し、私がさっきベッドの枕元に移動させた箱ティッシュを見つけた隼人が、
「大丈夫?」
私にティッシュを箱ごと差し出した。
箱から大量にティッシュを抜き取り、目ではなく鼻に押し当て、豪快に洟をかむ恥じらいの無い私。隼人の元カノは、こんなことしないのかもしれない。隼人の前で、ずっと可愛いままでいるのかもしれない。私の努力が足りないのかもしれない。だとしたら、やっぱり隼人の浮気は責められないのかもしれない。……でも、私の部屋は1DKなのに、どこでかめと? いちいちトイレに行けと? ていうか、人目を忍んで洟をかまなくてはいけないような努力を強いられるお付き合いって、楽しいか?



