最期の晩餐

『言い方がムカつくなぁ。まぁ、そうなんだけどさ』

 テレビ電話ではないから、美知さんの表情は分からないけれど、美知さんが鼻の穴を膨らませてむくれている姿が想像出来て、また笑ってしまう。

「別にいいですよ。楠木さんだって、見られても構わないと思ったから封をしなかったんだろうし。ていうか、読んだか読んでないかなんか言わなきゃ分かんないのに、正直者だなぁ、美知さんは」

『そうなんだよねー』

 完全同意の美知さんの相槌に、

「『そんなことないよー。別に正直者なんかじゃないよー』っていう謙遜はしないんですね」

 すかさずツッコむ。

『そうじゃなくて、私も楠木さんは、私みたいな人間にも読んでもらいたくてわざと封をしなかったんじゃないかなと思って』

「手紙、何て書かれてたんですか?」

 美知さんの意味深な言葉が気になる。

『私の口から聞くより、楠木さんの文字を見た方がいいでしょうよ。てか、隼人まだ? 遅くない?』

「来なくていいよ‼」

『楠木さんの手紙、いらないの?』

「いるよ‼ いるけどさ‼」

 自分の言っていることが矛盾していることなど分かっている。でも、どうにもこうにも隼人に会いたくない。