* * *
都市グラティムの外れにある古びた穀倉の一室で、数人の男たちが鮮やかな模様が描かれたストールを被るロングワンピースの人物を取り囲んでいる。その中にはテオドールの姿もあった。
カーヴェル公爵領での調査は極秘裏進められ、テオドールとその部下たちが任務にあたり重要参考人としてひとりの商人を捕らえたのだ。
わずかに入る日の光が、肌寒い倉庫内に舞う埃をキラキラと照らしている。騎士たちは苛立ちながら目の前の人物に問いかけた。
「おい。いつまで黙っているつもりだ?」
「…………」
「お前がカーヴェル公爵に出入りしていたイルシオ商団の副会長アンネだと掴んでいるんだ。隠しても無駄だぞ」
「…………」
アンネは目を伏せたまま反応すらしない。
ストールからこぼれ落ちた髪の毛がふわりと揺れて、騎士が抜いた剣の切っ先が喉元に突きつけられる。
「これでも話す気にならないか?」
「…………」
「お前、殺されたいのか?」
「逆に聞くけど、あたしを殺せるの?」
アンネの青緑の瞳は、騎士の後ろにいるテオドールを真っ直ぐに見つめた。
口を開いても反発する言葉でテオドールはため息をつき、騎士に剣を収めるよう指示を出す。
(確かに俺たちには殺せない……だが、コイツの態度が悪すぎる。アマリリスに頼るのは気が引けるが、そろそろ着く頃か)
騎士たちが苛立ちで空気がピリつく中、背後の扉がギィーッと音を立てて開かれた。
都市グラティムの外れにある古びた穀倉の一室で、数人の男たちが鮮やかな模様が描かれたストールを被るロングワンピースの人物を取り囲んでいる。その中にはテオドールの姿もあった。
カーヴェル公爵領での調査は極秘裏進められ、テオドールとその部下たちが任務にあたり重要参考人としてひとりの商人を捕らえたのだ。
わずかに入る日の光が、肌寒い倉庫内に舞う埃をキラキラと照らしている。騎士たちは苛立ちながら目の前の人物に問いかけた。
「おい。いつまで黙っているつもりだ?」
「…………」
「お前がカーヴェル公爵に出入りしていたイルシオ商団の副会長アンネだと掴んでいるんだ。隠しても無駄だぞ」
「…………」
アンネは目を伏せたまま反応すらしない。
ストールからこぼれ落ちた髪の毛がふわりと揺れて、騎士が抜いた剣の切っ先が喉元に突きつけられる。
「これでも話す気にならないか?」
「…………」
「お前、殺されたいのか?」
「逆に聞くけど、あたしを殺せるの?」
アンネの青緑の瞳は、騎士の後ろにいるテオドールを真っ直ぐに見つめた。
口を開いても反発する言葉でテオドールはため息をつき、騎士に剣を収めるよう指示を出す。
(確かに俺たちには殺せない……だが、コイツの態度が悪すぎる。アマリリスに頼るのは気が引けるが、そろそろ着く頃か)
騎士たちが苛立ちで空気がピリつく中、背後の扉がギィーッと音を立てて開かれた。



