天才悪女は嘘を見破る2〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜ユアン再会編

 たったひと言。

 だが、そこに思いの丈が込められていた。

 震える文字は赤黒く、メモ紙には土汚れもついている。

 最後の文字の末尾はメモ紙からはみ出すように斜め下に伸びていた。

 人生が終わりを迎えるその時まで力を振り絞り、我が子への愛を込めたメッセージを残したのだ。

「これはランドルフ・クレバリー侯爵の最後の手紙だ」

 ガラスに挟まなければ保管できないようなメモ紙を、ルシアンは手紙だと言った。

 アマリリスはそれがどうしようもなく嬉しい。

 両親の死はあまりにも突然のことだった。
 アマリリスが最後に交わした言葉は、お土産が欲しいとねだる言葉だ。

 もっと他に伝えられることがあったのにと、今も後悔が残っている。

 どうして事故に気を付けて、元気で帰ってきて、と言えなかったのか。

 両親に伝えたのは自分のことばかりで、彼らを思いやる言葉ではなかったのに。

(それでも、お父様は私たちの幸せを願ってくれた)

 アマリリスはこのひと言で、どれだけ救われただろう。

 子供だったとはいえ、自分のことしか考えられなかったアマリリスを許してもらえたような気がした。