天才悪女は嘘を見破る2〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜ユアン再会編

 黒い笑みを浮かべるルシアンに、テオドールとユアンは焦りを感じた。ルシアンは油断ならない相手だとふたりとも理解している。

 ルシアンは執務机の引き出しを開けて、薄いガラスに挟まれたメモ紙を取り出した。

 それがなんなのか三人はわからず、どう反応していいのかわからない。

「これは僕がカッシュと一緒に探した、ある事件の物証なんだけど。今回は特別に持ち出してもらった」
「ある事件とは……?」

 テオドールでも心当たりがないのか、首を捻っている。

「今から約九年前、ある侯爵夫妻が商談のため、リオーネ王国へ向かう途中で馬車の事故に遭った」

 ルシアンの言葉に三人は固唾を飲む。

「夫妻には三人の優秀な子供がいて、とても愛情深く育てていたんだ。しかし、山道で落石に巻き込まれて、馬車は崖の下へと転落。大怪我を負った侯爵は最後の力を振り絞り、胸元のポケットからメモ帳を取り出して、こう綴った」

 ルシアンは、ガラスを反転させてメモ紙をアマリリスたちに向けた。

 ボロボロのメモ紙に書かれていたのは。


【お前たちを愛している。どうか幸せに】