カーヴェル公爵領は王都の南に位置し、国の食糧を支える穀倉地帯だ。
四大公爵のひとつで、アルマンド・カーヴェルが治めている。
カーヴェル公爵はアマリリスの調べでルシアン殺害未遂の黒幕だと判明し、水面下で調査を進めていた。
「なにかあったのですか?」
「うむ。重要参考人を捕らえたが、一向に口を割らん。脱走の恐れもあり極力移送は避けたいのだ。そこでアマリリスの力で情報を引き出してほしい」
極秘裏に呼び出されてただ事ではないのはわかっていたし、嘘つきや黙秘を貫く者の相手はアマリリスの得意とするところである。
しかし、ルシアンは納得いかない様子で国王に噛みついた。
「そんなことに僕のリリスを駆り出さないでください。ふたりの時間がなくなります」
「ルシアン。王命の方がよかったか?」
「……父上は横暴すぎます」
アマリリスはルシアンと国王のやり取りに苦笑いしつつも、考えを巡らせる。
(カーヴェル公爵ほどの大物であれば捜査も容易でないわよね……きっと、ようやく捕まえた重要参考人なのでしょうね)
四大公爵のひとりともなればその権力は絶大だ。その気になれば大抵ことは握り潰せるし、捜査から逃げ切ることもできるだろう。
(カーヴェル公爵が手を打つ前に、迅速に処理する必要があるわ)
アマリリスも命を狙われたうえに、ルシアンが毒を口にして倒れたのだから、むしろさっさと厳罰に処してもらいたい。
「承知いたしました。僭越ではございますが、重要参考人から話を聞き出しましょう」
アマリリスは誰もが見惚れるような笑みを浮かべた。
四大公爵のひとつで、アルマンド・カーヴェルが治めている。
カーヴェル公爵はアマリリスの調べでルシアン殺害未遂の黒幕だと判明し、水面下で調査を進めていた。
「なにかあったのですか?」
「うむ。重要参考人を捕らえたが、一向に口を割らん。脱走の恐れもあり極力移送は避けたいのだ。そこでアマリリスの力で情報を引き出してほしい」
極秘裏に呼び出されてただ事ではないのはわかっていたし、嘘つきや黙秘を貫く者の相手はアマリリスの得意とするところである。
しかし、ルシアンは納得いかない様子で国王に噛みついた。
「そんなことに僕のリリスを駆り出さないでください。ふたりの時間がなくなります」
「ルシアン。王命の方がよかったか?」
「……父上は横暴すぎます」
アマリリスはルシアンと国王のやり取りに苦笑いしつつも、考えを巡らせる。
(カーヴェル公爵ほどの大物であれば捜査も容易でないわよね……きっと、ようやく捕まえた重要参考人なのでしょうね)
四大公爵のひとりともなればその権力は絶大だ。その気になれば大抵ことは握り潰せるし、捜査から逃げ切ることもできるだろう。
(カーヴェル公爵が手を打つ前に、迅速に処理する必要があるわ)
アマリリスも命を狙われたうえに、ルシアンが毒を口にして倒れたのだから、むしろさっさと厳罰に処してもらいたい。
「承知いたしました。僭越ではございますが、重要参考人から話を聞き出しましょう」
アマリリスは誰もが見惚れるような笑みを浮かべた。



