さらに二週間後、アマリリスとルシアンは国王の執務室へ内密に呼び出された。
ルシアンの執務室にある暖炉には仕掛けがあり、壁の後ろに隠された扉を開けると細く暗い通路が続いている。
「リリス。父上の命で隠し通路を使うけど、暗いから気を付けて。中は入り組んだ迷路になっているから、絶対に手を離さないでね」
「はい、わかりました」
隠し通路は王族と側近のみが知る極秘事項だが、アマリリスが王族入りすることは決定事項なのであっさりと教えたのだろう。
それは重責を感じるものでもあり、認められて嬉しくもあった。
(それにしても王家しか知らない隠し通路を使うなんて……よほどのことなのかしら?)
アマリリスの胸中は嫌な予感でざわつくが、手のひらに感じるルシアンの温もりが落ち着かせてくれる。
しばらく通路を進み、国王の執務室へ入ると同席しているのは宰相のみで護衛騎士すらいなかった。
「おお、ふたりとも待っておったぞ。今日は其方らに頼みがあって呼び出した」
「頼みというより、命令ですよね?」
ルシアンは半眼で国王を睨みつける。
しかし、アマリリスもこの状況からそういうことなのだろうと感じ取っていた。
「まあ、そう申すな。ふたりにはカーヴェル公爵領へ行ってもらいたい」
ルシアンの執務室にある暖炉には仕掛けがあり、壁の後ろに隠された扉を開けると細く暗い通路が続いている。
「リリス。父上の命で隠し通路を使うけど、暗いから気を付けて。中は入り組んだ迷路になっているから、絶対に手を離さないでね」
「はい、わかりました」
隠し通路は王族と側近のみが知る極秘事項だが、アマリリスが王族入りすることは決定事項なのであっさりと教えたのだろう。
それは重責を感じるものでもあり、認められて嬉しくもあった。
(それにしても王家しか知らない隠し通路を使うなんて……よほどのことなのかしら?)
アマリリスの胸中は嫌な予感でざわつくが、手のひらに感じるルシアンの温もりが落ち着かせてくれる。
しばらく通路を進み、国王の執務室へ入ると同席しているのは宰相のみで護衛騎士すらいなかった。
「おお、ふたりとも待っておったぞ。今日は其方らに頼みがあって呼び出した」
「頼みというより、命令ですよね?」
ルシアンは半眼で国王を睨みつける。
しかし、アマリリスもこの状況からそういうことなのだろうと感じ取っていた。
「まあ、そう申すな。ふたりにはカーヴェル公爵領へ行ってもらいたい」



