天才悪女は嘘を見破る2〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜ユアン再会編

「わかればよい。それでは、話を進めて問題ないな?」
「はい、お願いいたします」

 これ以上カーヴェル公爵を責め続けてもメリットがないため、アマリリスはサッと引き下がり話題を変える。

 三人は改めてソファーに腰を下ろし、面会を求めた理由について話しはじめた。

「本日、カーヴェル公爵邸を訪問したのは、例の薬についてご相談があったからなのです」
「ああ、手紙にも書いていたな」

 カーヴェル公爵はソファーに浅く腰掛け、目元はピクリとも動かず腕組みをしている。

(当然だけど、警戒心を強く持たれているわね。さて、ここからどうやって警戒心を取り払っていこうかしら?)

 アマリリスはこれまでのカーヴェル公爵の性格や行動から、最適解を導き出すため思案した。

 人心を操ることに長けた悪女としての才能が、失敗を許されない場面でも遺憾なく発揮される。

「アンネからカーヴェル公爵は先見の明のあるお方だと聞いている。その才能を見込んでの頼みだ」
「ほう……アマーリエ王女は人を見抜く目をお持ちのようですな」
「そうだな。この部屋を見てもわかるが、一級品ばかり揃えている審美眼、これだけの物を集める財力がある。すなわち其方の経営手腕が優れているということだ」
「さすがでございます。この応接室に揃えた品々は、みな特別なものでして――」

 カーヴェル公爵は滔(とう)々(とう)と自慢話を始めた。