* * *
アマリリスはようやく目的の人物、カーヴェル公爵と対面した。
アンネは事前の打ち合わせ通り、捕まった素振りは見せずカーヴェル公爵へ挨拶をする。
「カーヴェル公爵、ご無沙汰しておりますわ。本日はあたしの提案を受け入れてくださって、ありがとうございます」
「……ふんっ。商人如きが生意気だが、例の物についてと言われたら仕方あるまい」
カーヴェル公爵はチラリとアマリリスに視線を向けるが、興味なさげに対面のソファーへ腰を下ろした。
「では早速、商談を始めさせていただきます。最初に、この場を設けてほしいと強く希望されたのはこちらのお方です」
「プラジャーク王国の第三王女、アマーリエと申します」
本当は大商人の娘と自己紹介するはずだったが、アマリリスは急遽王族を名乗る。
これは賭けだった。
王族ともなれば名も知られ、顔も知られている可能性が高い。
だが、プラジャーク王国はフレデルト王国から遠く離れた地にあり、影響力がほとんどない小国だ。
(だからこそ、計画性のないカーヴェル公爵はきっとそんな小国の情報なんて調べていないはず……)
もし万が一情報を知っていたとしたら、本当はその国の貴族だと打ち明ければいい。
王女の命を受けたと言って、次の段階へ進めるだけだ。
「……王女だと? 遠い異国の小国など知らんが、王族だという証拠はあるのか?」
アマリリスはようやく目的の人物、カーヴェル公爵と対面した。
アンネは事前の打ち合わせ通り、捕まった素振りは見せずカーヴェル公爵へ挨拶をする。
「カーヴェル公爵、ご無沙汰しておりますわ。本日はあたしの提案を受け入れてくださって、ありがとうございます」
「……ふんっ。商人如きが生意気だが、例の物についてと言われたら仕方あるまい」
カーヴェル公爵はチラリとアマリリスに視線を向けるが、興味なさげに対面のソファーへ腰を下ろした。
「では早速、商談を始めさせていただきます。最初に、この場を設けてほしいと強く希望されたのはこちらのお方です」
「プラジャーク王国の第三王女、アマーリエと申します」
本当は大商人の娘と自己紹介するはずだったが、アマリリスは急遽王族を名乗る。
これは賭けだった。
王族ともなれば名も知られ、顔も知られている可能性が高い。
だが、プラジャーク王国はフレデルト王国から遠く離れた地にあり、影響力がほとんどない小国だ。
(だからこそ、計画性のないカーヴェル公爵はきっとそんな小国の情報なんて調べていないはず……)
もし万が一情報を知っていたとしたら、本当はその国の貴族だと打ち明ければいい。
王女の命を受けたと言って、次の段階へ進めるだけだ。
「……王女だと? 遠い異国の小国など知らんが、王族だという証拠はあるのか?」



