天才悪女は嘘を見破る2〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜ユアン再会編

 アマリリスたちが都市グラティムに来てから十日が経った。

 この日は潜入捜査でカーヴェル公爵邸を訪問するため、アマリリスとアンネは行動を共にしている。

 馬車に乗り込み、カーヴェル邸を目指していた。

「アマリリス、準備は抜かりないわね?」
「ええ、もちろんです。行きましょう」

 アマリリスはアンネと同じ民族衣装をまとい、腕には数種類のブレスレットをつけている。

 顔の下半分をストールで隠し、赤髪は特徴的なため濃いブラウンに染めて、褐色のファンデーションで露出した肌に化粧を施せばまったく別人だ。

(あくまでも私は異国の貴族で、アンネさんの上客。欲しいものは例の毒薬よ)

 カーヴェル公爵を担当していたアンネがテオドールに捕まったことは、まだ誰にも知られていない。

 そのため特殊配合された毒薬を欲していて、紹介を頼んだという設定だ。

(証拠隠滅にもなるし、カーヴェル公爵が拒むとは思えないけど……警戒はされるわよね)

 ここまで物証を残していないことから、相当用心深い人部だとわかる。

 だからこそ、アマリリスの振る舞いにミスは許されない。

 ほんの少しでも違和感を持たれたら、物証は手に入らないのだ。