天才悪女は嘘を見破る2〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜ユアン再会編

 アンネの話では、彼女はイルシオ商会の副会長で、主に貴族たちを相手に商売をしていたという。

 カーヴェル公爵にもさまざまな商品を卸していて、その中にルシアンの暗殺未遂に使われた毒薬もあった。

「あの薬は飲み物に混ぜでも色も変わらないし、無味無臭で即効性があるように特殊配合しているの。他にはない毒薬だから解毒剤もなかったでしょう?」
「まあ、確かにね。おかげで酷い目にあったよ」
「お褒めの言葉と受け止めるわ。あたしもまさかアマリリスに使われるとは思っていなかったのよ。だからルシアン殿下が身代わりになってくださってホッとしているの」

 アマリリスたちは重要参考人には身分を隠すつもりでいたが、すでに身元が知られているのでそのまま話を進める。

「それが商会やカーヴェル公爵の情報を流す理由ですか……?」
「そうよ。カーヴェル公爵には毒薬を三包売ったわ。きっとまだ持っているから、物証を押さえたら?」

 アンネの言葉で騎士たちの顔つきが変わった。この情報が正しければ、確実にカーヴェル公爵を追い詰めることができる。

 しかし、アマリリスはアンネへの疑惑がますます膨れ上がった。

「……アンネさんはいつ、どこで私に毒物が使われたと知ったのですか?」

 アマリリスに毒が盛られたことは調査段階で公にされてはいない。

 あくまでも王太子暗殺未遂として国王は調査を進めたのだ。