─水神中学─

『乃愛瑠〜おはよう』

『優愛〜おはよう』


優愛は中学に上がった頃からの私の大事な友達

(まぁ、高校は別々になったんだけどね)

『あ、西野くんじゃん。小学校の時から、暗い感じだから、話しかけにくいんだよねー』

教室の隅で、何故か暗く誰とも話そうとしない西野くんと呼ばれる男の子

彼の名前は『西野 恭平くん』

痛みのない綺麗な黒髪に、黒縁メガネ

学生服のボタンも上まできちんと閉めてる

優愛から聞かされたのは

彼は小学校の時から、無遅刻無欠席

何より皆勤賞なんだとか

そんな彼をみんなは西野くんに夢中

ただ一部を除いてはね

『ほんとに毎日飽きないねー』

私と西野くんはこの頃はあまり接点がなかった

ただ、なんか静かだなーって言うくらいだった

優愛は彼に敵意むき出しで、いつも影で彼の悪口を言ってる

『まぁまぁ』

そう宥めるけど、優愛は一度口を開けば止まることを知らない

中学ではじめて出会った西野くんの学校生活はこんな感じだった

パタリと合えば挨拶をしてくれる

まさか私が西野くんに、恋を抱くとは思ってもいなかった