【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

玄関の鍵が開いた音がして、涼介が帰ってきた。

いつもと同じ定時帰宅――のはずなのに、
その顔は、まるで捜査本部に何時間も缶詰になったかのように疲れていた。

リビングのソファにずるずると体を沈めた彼は、
ネクタイを緩める手もどこか力が入らない。

美香奈はキッチンから顔を出して、その様子を見てクスッと笑う。

「……ねぇ、涼介くん。聞いたよ?」

「……ん」

「今日、朝礼で報告したんだって?
しかも……顔、真っ赤にして、みんなに茶化されたって――」

「…………」

「今日は、生きた心地しなかったでしょう?」

にやっと、意地悪そうに笑ってみせると――

涼介は、顔を両手で覆って、うなだれた。

「……なんで、もう知ってんの……」

そのまま、ぐたりとソファに仰向けになり、
四肢をソファに投げ出して――放心状態。

美香奈は、その頭のすぐ横にちょこんと座ると、
やさしく彼の髪に指を添えて、撫でた。

「……よく頑張りましたね」

その声に――

涼介は、にっと笑った。
いたずらを企むような、わんこの顔。

次の瞬間――

「緊急逮捕です」

ぴしっと、美香奈の両手首が、片手でしっかりと掴まれる。

「わっ……!」

驚きながらも、美香奈は微笑む。

「ふふ……でも私、48時間以内に――
令状を持ってこられないようにしてやるんだから」

そう言って、美香奈は掴まれたまま、
涼介の頬へ――唇を落とした。

それはすぐに、唇同士のキスへと変わり、
深く、やさしく、ゆっくりと。

涼介は仰向けのまま――
そのぬくもりに息を漏らした。

「……もう、逃げられないな」

小さく呟いたその声に、
美香奈もまた、唇で微笑んだ。