【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

「……私は、そんなあなたに、人生で初めて……恋をしたの」

少しずつ、熱を帯びていく声。

「多くを語らなくても、あなたの視線はいつも真っ直ぐだった。
だから、私、あなたと……」

美香奈がそう言いかけた瞬間――

言葉の続きを紡ごうとした唇が、わずかに震える。
胸の奥から溢れてきた想いは、まだ形にならないまま、
空気の中で揺れていた。

その沈黙の中で、涼介はほんの一呼吸だけ間をおいた。

ゆっくりと身体を傾けて、
やさしく、でも確かに――

人差し指を、美香奈の唇にそっと添えた。


「……美香奈。
それは、俺に言わせて」

ふたりの視線がまっすぐに交差する。
呼吸を呑む一瞬。

そして――




「……結婚しよう」
 



柔らかく、けれど確かに響いたその言葉に、
美香奈の瞳から、大粒の涙が静かにこぼれ落ちた。

深く、深く頷いたその姿は、
これまでの日々のすべてを肯定していた。

涼介は、涙に濡れるその頬に手を添えて、
そっと、やさしく、美香奈の唇へ口付けを落とした。

ふたりだけの、静かで特別な誓い。

そしてその日をもって――
“キス禁止令”は、静かに、正式に解除されたのだった。